ふたり(以下または以上の)


樹々の肥やしになったあなたを、右頬をブツことで目覚めさせた時、俺は手に持ったスコップを自分に突き刺したのだった。


1
あなたの右腕はすでに使い物にならなかったから、俺は血でドローイングした。二度と動かないように。

2
家に連れて帰ると、何か話そうとしたあなたは、俺が現像したフィルムを見て、話すのをやめた。たぶん、言おうとしていたのは、こんなの。
反知性主義ってどこへ行ったの?」

3
サルトルが声絶え絶えに俺に告げたこと、あなたも知っておいた方がいいかもしれない。伝えたよ。
「創造なんて大袈裟さ、あんたが神になる瞬間があったってこと?」あーあ、俺は創作って言ったのにね。

4
ついに尽き果てたあなたは、事前に準備していたものを俺に渡した。数百枚のドローイング、詩、アフォリズム。全て燃やしてくれと。俺はそんなこと、今も出来ていない。実はこの文章も、あなたのものだってこと、皆に白状するよ。あーあ。

5
いや、どこまでが俺の文章でどこまでがあなたの文章なのかまでは、明らかにしない方がいいだろう。あなたに読まれては困るからね。