霊性と生成り


アニミズムのおかげで俺は助かっているのだけれど、こうも連続して指輪をハメ忘れることなんてない。どうやら俺は指輪をはめたいみたいだ。清志郎のごとく、とはいわず。セロニアス・モンクのごとく。の方が正しいだろう。では、


チャプター1 
生成りを全て燃やした後、この一帯に残ったのは河原町だけだった。つまりは木屋町を含むのだが、その通りです生存する唯一のポン引きに声をかけられる。「姉ちゃんいないですか?」俺は同情してこう言う。「もうどこにもいないよ」

チャプター2
生成りを燃やしたら、俺に残ったのは古びたzozoスーツ。この街を闊歩するには丁度良い。しかし俺は巡査声をかけられた。やべえ。捕まる。そう思った時には手錠をかけられていた。

チャプター3
連れていかれたのは常に既にボサノヴァがかかり続ける部屋。ジョビン以外の。俺は、ディストピアで流れる音楽はジョビン以外のボサノヴァなんだと確信を得て(というより体感、実感、経験?)、数日後に何事もなかったかの如く、清志郎のごとく、セロニアス・モンクのごとく指輪をはめて、生成りを見つけた。