夜に沈み込まない、ここは



夜の闇が真っ逆さまに降りて来た時にエマが横にいたら、娘だけれどそのまま空に放り投げるだろう。


それに俺は夜の暗殺者たちに追われていて儚くもそれが清算されるのは、光がひいて見えたいまなんだ。だからといってはなんだが、そのまま空に放り投げるだろう。

第1の清算
治療が進んでいくと加速度的にクスリの量が増えていき、俺は踊りながらそれを見ている。あー苦しい。見ているのが苦しい。

第2の清算
煙草を拾い集めている時に腕からテュエリー・ミュグレーのエンジェルオムの香りがして、慌てて全部捨て帰ってしまったこと。

第3の清算
思い出せない。

これらによって俺はどうにも動けずにいて、それなら娘は放り投げた方がいい。現実に。

チャプター2
受け止めるのも俺だ。全身血だらけだが、エマに血が付かないよう配慮している。おかげでエマは何にも気付いていない。いや気付いていても、血だらけだとは思わないだろう。何故なら初めから真っ赤だからだ。返り血は、簡単には見られない。


チャプター3
ケチャップと練乳を込めた甘い鉄砲に撃たれたのは妻だった。俺は抱きしめながら、吐き気を我慢していたが、離さなかった。力強く吐いたのは妻が皿の上に乗っておどけた時。