ジョナサン・リッチマン来る


ジョナサン・リッチマンが包丁を持って追いかけてきた。手拍子をしていて気持ちが悪い。俺はアコースティックギターを投げつけると、彼はエレキギターが良いらしく、投げ返してきた。the our lives...そう言ったのは彼だったか、それとも俺だったか、もはや彼と同化寸前まできていた俺は「来る」という言葉だけで全てを表すことが出来るんじゃないかと考え、岡田准一主演の同名タイトルの映画を見なかったことを後悔していた。



朝、目が覚めて何事もなかったかのようにパンを頬張っていると、聴こえるのは彼の声。俺はアンプに繋いだエレキギターを窓の外へ放り投げた。ほどなく耳元には、かったるいように爪弾くロカビリーチックなリズムギター、ああ刻んでいる。彼は俺を。遠のく意識の中、彼の唾が口に入ったことを確認した。