東京五十四箇所赤女


破壊から創造が生まれ、想像から破戒が産まれる。俺はクロックムッシュを吐いていた。


「うろ覚えだなんて大袈裟だよ…」
あんたはカルチュアルステディとゴーイングステディの間に立っていて、真っ逆さまに落ちてくる矢沢永吉を観ている。グッズに並んだ2時間で得たものは、白いスーツを着れば皆ヤザワに似るかと思えばどっちかつうと白竜。笑 という事実を何度も確認させられたことだろう。俺は開演前にはヤザワと白竜の区別すらつかなくなっており、慌てて「時間をとめた」DIOも驚くこのパーフォマンスでミジンコのヤザワは巨大化し娘と共に滅んだ。

「過敏を破れば、都々逸」
レディージェーンでマティーニを飲み、シネマクラブで寺山に酔い、みん亭で赤い炒飯と戦った。俺たちは戦争に似た陶酔を酒に投影していたおかげで、青唐辛子など物ともせず肉とニンニクにまみれていた。『大空の誓い』『大虐殺』『愛しのアイリーン』の三本は俺の顔面をハンカチでこしょばすような素晴らしさで、ついにはくしゃみの衝撃でなんとか=カントァ=クラークがぶら下がりシャワーを浴びていた時計台から落ちてしまったようだった。そんな馬鹿な!坂口恭平の展示に10分しかいないだなんて!笑 だってつまらなかったのだもの。彼は落ち着きよりも悲しく魅力を失っており、それは彼が本質的な家族を題材にしなくなったからだろう。

「モーターサイクルモバイルバッテリーズ」
ヤングサンデーは復活し、俺は石川啄木に「共鳴せえへんか?」と声をかけた。答えは勿論イエスで俺の血流が音楽している。水に似た恋を宿らせながら、キャンバスに書きつけたのは彼の日記。俺の言葉。これはシグナル。北村一輝の魔法。俺と彼は文言を選ばない。愛を語るときと同じだ。恋は曲者となり、愛は亡者となる。俺の良き理解者はふたりいて、あだ名は同じ「おっくん」である。f:id:sumogurishun:20181009175303j:plain